眉間のシワは30本

頑張るよ、私

只野

8月初旬、俺は昔から暑さというのに弱い。

感じるほどに遠く感じるのだろう、夏という奇妙な季節は

喪服としてスーツなど着れる気温ではない。

真夏の葬式、完全に宿敵だ。参ったな。

線香の煙がジリジリと迫る。

先週、只野が死んだ。自殺

只野との再会がまさか葬式だとは

しかも真夏日の。最もお前らしいとは思うが

俺は只野とそれこそ、もう5年は会っていなかった。

まあ仕事を始めてからと言うのも、お互い忙しかった

只野にも嫁と小さい子供がいたのもあったし、大学の頃のように遊べるほど俺らも若くなかった。

只野、お前の考えていたこと、1から100まで全てわかるわけではないけれど

こんなに小さい子供と可愛い嫁さん残して死んでったのは、お前らしくない。

お前らしくないんだ。

俺らミステリー小説好きだったろ、だからこそお前がこんな死に方をするとは思えないんだ

只野、お前は何を背負っていたんだ

只野、お前なら今俺の考えていることが分かるんだろう

答えてくれ、俺に与えてくれ。

只野、お前ならあの時どんな風に答えていたんだ?