8月初旬、俺は昔から暑さというのに弱い。
感じるほどに遠く感じるのだろう、夏という奇妙な季節は
喪服としてスーツなど着れる気温ではない。
真夏の葬式、完全に宿敵だ。参ったな。
線香の煙がジリジリと迫る。
先週、只野が死んだ。自殺
只野との再会がまさか葬式だとは
しかも真夏日の。最もお前らしいとは思うが
俺は只野とそれこそ、もう5年は会っていなかった。
まあ仕事を始めてからと言うのも、お互い忙しかった
只野にも嫁と小さい子供がいたのもあったし、大学の頃のように遊べるほど俺らも若くなかった。
只野、お前の考えていたこと、1から100まで全てわかるわけではないけれど
こんなに小さい子供と可愛い嫁さん残して死んでったのは、お前らしくない。
お前らしくないんだ。
俺らミステリー小説好きだったろ、だからこそお前がこんな死に方をするとは思えないんだ
只野、お前は何を背負っていたんだ
只野、お前なら今俺の考えていることが分かるんだろう
答えてくれ、俺に与えてくれ。
只野、お前ならあの時どんな風に答えていたんだ?