眉間のシワは30本

頑張るよ、私

惰性で生きている間に、あの子の年齢を追い抜いてしまっていたみたいだ

彼女への興味は好奇心の一端に過ぎなかったのだ。当時の私には、彼女の感情がとても魅力的であった。それと同時に、私にはあまりにも刺激的であった。

知らない薬の名前が羅列されたその日記に、孤独が隠されていることに気付くことが出来たのは、もう少し後になってからだった。

血眼になって覚えた薬たちの名前が頭にぷかぷかと浮かぶ。それは全て彼女から学んだ名前だ。見たこともかじった事もない、マカロンのような色の薬たちは、私の孤独を助ける。

わたしは、見つめる先にある真鱈模様の天井が好きだった。保健室の無機質なベッドが好きだった。静かな部屋に響くペンの音が好きだった。呼吸の一つ一つを味わった。頭に浮かぶ一つ一つの言葉を優しく抱きしめた。皆が同じ空間で同じ時間を過ごす中、一人でたわいもないことを考え自分で自分の孤独を救う。現実から乖離されたこの空間は、あまりにも時が進むのが早く、愛おしいものであった。

その愛おしい時間は、天井の奥からガタガタと鳴り響く椅子の音により崩れ落ちる。一気に現実へと引き返されるのである。彼女に憧れ姿を追う私はただの精神疾患者ということ、何にもならない、誰にも必要とされない、上位互換のたくさん存在してる現実に私の生きる意味は、何処にあるのだろう。考えるたび、壊れていく感覚が私を支配した。

その感情は、カーテンの開く音で奥の方に押さえ込まれる。ふと我に帰った私に先生は尋ねた。内容は分からない、私がどう返したのかも知らない。会話の内容を覚えられるほど、今は余裕がない。孤独を救うのに一杯一杯だから。