俺は多分俗に言う、なんだ、クズとかいう奴なんだと思います。いや、クズなんですよ多分
ただ俺的には自覚なしってなやつで、その時楽しけりゃいいかな〜みたいな。楽しけりゃ良かったんですよその時々がね
飲み歩いて潰れたり、まあそこそこ可愛いな〜って女を潰して近くのホテルとって一緒に泊まって、まあそういうことして
そういうのってその時々は楽しいんですよね。楽しかったんです
虚しさとかそういうのは置いといて、楽しかったんです
そんな生活してた時に飲み屋でなんか変な女と出会って、なんて言ったらいいか分かんないけどまあ優しい人でした。人懐っこくて俺もすぐ仲良くなってLINE交換して。
でも変な女でもあったな
女の癖に奢られるの嫌いだし、女の癖に一回やった男には興味もないって言い放って。極め付けの口癖は「わたしって誰にも愛されないから。」
いや何なんだお前。割と可愛い癖に何を言ってるんだ。とはずっと思ってましたよ俺は。
だけどなんだか一緒にいて心地よかった。
なんなら実家にもいれたりした。俺んちで飼ってる猫がこの子の髪の毛食べて、「髪の毛短くなっちゃった」って可愛い顔で笑って、なんかそういうクシャって笑う顔が可愛かったなあって思い出して。うん、可愛かったよ。
本当、俺んちの猫がごめんね。でもさ、多分君に懐いてたんだよ俺んちの猫。多分君に似てんだよな俺んちの猫。
そうやって、君は猫みたいだったよなあ、とか、なんか今俺んちの猫みて思い出した。
なんだかんだいって1ヶ月くらいしか一緒に居なかった気がする
「好きになったからもう会わないし連絡もしないね。今までありがとう。元気でね」
とか変なLINE寄越して、そういえば一回やった男に興味はないって言ってたけど俺とは関係続けてくれてたよね。傷付くのが怖くて見ないフリしてたんだよ。
俺は嫌だったからまだ一緒にいたいって返したけど、何も返ってこなかった。
そんでそう言われて気付いた。そういえば俺なんも知らなかった。SNSも大学も家も住んでるところも。
ほくろの数とか前髪の内側が癖っ毛なところとか、少しだけ腕に傷があるところとか、そういうところは知ってるのに。歯磨きする時結構長いところとか、くしゃって笑った顔とか、えくぼとか、短い八重歯とか、そういうのは知ってるのになあ。それ以外は本当になんも知らなかった。聞いても何も教えてくれなかったし、俺も聞く気もなかったのかもしれない。
なんだか最後の最後まで猫みたいな女だった
体温高くて、猫みたいな、俺んちの猫みたいな可愛い小さい女だった。